トランペットの技術 -ボディ&メンタル-

トランペットの技術

-ボディ&メンタル-

著|Frank Gabriel Campos
訳|澄田涼太郎
定価2,750円(2,500円+税)
在庫:あり
仕様:A5判並製
ページ数:192
ISBN:978-4-434-31601-2
発行日:2023/01/26
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summary
   

トランペットは、音を出すこと自体、難しい楽器のひとつである。そのトランペットで美しい音楽を奏で、聴く人を感動させるための技術は、どのようにしたら習得できるのか。本著は、著者の第一線での演奏家としてのキャリアとトランペットの教師・クリニシャンとしての豊富な指導経験をもとに、多くの教授陣、研究者、一流奏者が見出し、実践してきた優れた演奏技術に加え、スポーツ科学におけるメンタル・コントロールをはじめとする最新の研究成果を盛り込み、ブレス、アンブシュア、口腔、舌、あごなどからだの使い方から、本番で実力を発揮するためのメンタルの整え方に至るまで、さまざまなアドバイスを惜しみなく紹介している。どれもすぐに練習室で試してみることができ、初級者からプロ奏者まで奏法に悩みを抱えるすべてのトランペット吹きにとって、自身の壁を打開するヒントが詰まった一冊。

contents
  • トランペットを学ぶ日本のみなさんへ
  • 謝 辞
  • はじめに
第1章 スキルを持っているとはどういうことか
  • ― 知ったかぶりをする人とテクニック至上主義者
  • ― スキルの定義
  • ― スキルの3つのモデル
  • ― スキルの6つの特徴
  • ― 才能の問題
  • ― 少ないエネルギーでできること:効率性が第一の目標
  • ― スキルを洗練する
  • ― 学びの心理学
  • ― 観察学習法
  • ― お手本をまねること
  • ― 音楽的な歌い方とサウンドのコンセプト
  • ― 試行錯誤
  • ― 大切なのはプロセスより成果
  • ― 練習
  • ― 全体の練習と部分の練習
  • ― 内容を限定した練習と自由な練習
  • ― 同じ条件での練習とさまざまな条件での練習
  • ― 分割して行う練習と一気にまとめて行う練習
  • ― 順行チェイニングと逆行チェイニング
  • ― 豆を使った練習
  • ― フィードバックと期待
  • ― 学んだことの定着化
  • ― 練習の間隔
  • ― 悪い習慣の修復作業
  • ― 悪い習慣を変えるには
  • ― 「違和感」を導入する
  • ― 少しずつ変えていくこと
  • ― 感覚に従って変えよう
  • ― 分析麻痺
第2章 ブレス(エアを肺に取り込む方法、肺から楽器へ送り込む方法)
  • ― すべてにあてはまるアドバイス
  • ― アーノルド・ジェイコブス
  • ― 息の支えについての「神話」
  • ― バルサルバ“連動”
  • ― ブレーキを踏んでしまう
  • ― 演奏中にあがるうめき声
  • ― ただ吹くだけ
  • ― 原理の証明
  • ― エアの圧縮とエアの圧力
  • ― 圧力をかけたエア
  • ― リラックスした状態
  • ― 「弱さを大切に」
  • ― ため息
  • ― 息を吹く練習
  • ― 横隔膜
  • ― ただ吸うだけ
  • ― ヘイニーのテクニック
  • ― 口の左右の隅でブレスする
  • ― 肺
  • ― 横隔膜を使ったブレス
  • ― 腹筋
  • ― 腹筋と周囲の筋肉との関係
  • ― リラックスした腹筋
  • ― 腹
  • ― もうひとつの提案
  • ― たっぷりエアを吸うことが大切なさらなる理由
  • ― 肺活量
  • ― 肺活量を増やすためのトレーニング
  • ― エアをたっぷりと吸うこと
  • ― 循環呼吸
  • ― リラックスしたのど
  • ― 声門(咽頭)
  • ― 声門(咽頭)を弁として使うこと
  • ― 抵抗
  • ― 吸って吹く
  • ― ウォームアップのエクササイズ
  • ― 正しい習慣を確⽴する
  • ― ブレストレーニングの流れ
  • ― トレーニングを洗練させる
  • ― まとめ
第3章 アンブシュア
  • ― 音を生み出すメカニズム
  • ― アンブシュア
  • ― アンブシュアについての誤解
  • ― 金管楽器奏者の顔
  • ― メッセージがからだの動きをコントロールしている
  • ― 意識的にコントロールする
  • ― 無意識のうちに自然と動くこと
  • ― 筋肉と神経
  • ― すぼめる口とスマイルの口
  • ― アイソメトリック
  • ― スマイルアンブシュア
  • ― 口をすぼめたアンブシュア
  • ― しわが寄ったあご
  • ― 一般的ではないアンブシュア
  • ― 初心者へのアンブシュアの教え方
  • ― 振動は上のリップで作る
  • ― アパチュア
  • ― 傷ついた表皮
  • ― ダブル・バズィング
  • ― リップへの圧力
  • ― 弱いアンブシュア
  • ― ノー・プレッシャー・プレーヤー
  • ― 力で押しつける
  • ― 慢性的なアンブシュアの疲労
  • ― アンブシュアの限界まで練習する
  • ― 吹いた分と同じだけ休む
  • ― 力を入れすぎる習慣をなくす
  • ― マウスピース・バズィング
  • ― グリッサンド
  • ― ペダルトーン
  • ― アンブシュアをつくるトレーニング
  • ― リップの形状
  • ― 上のリップの中央に目立って突き出た部分があるときのアンブシュアの修正
  • ― マウスピースの当て方
  • ― マウスピースをまんなかから外れた位置に当てる場合
  • ― 上のリップの⾚い部分で吹く
  • ― ダブルアンブシュア
  • ― マウスピースを下方にずらす
  • ― 上下のリップに隙間を作る
  • ― 濡れたリップか、 乾いたリップか
  • ― アンブシュアの変更
  • ― 感覚をもとに変える
  • ― 見た目をもとに変える
  • ― アンブシュアを変更するときの昔からあるやり方
  • ― 少しずつ慣れさせていく
  • ― アンブシュアについて最後に言いたいこと
第4章 口腔、舌、あご
  • ― ⼝のなかを見る
  • ― ヘイニーの研究結果
  • ― シラブル(音節)を使う
  • ― ⼝笛を習得することとの類似性
  • ― 口腔の大きさ
  • ― ⾆
  • ― ブレスアタック
  • ― ⾃然な⾆の位置
  • ― 舌の背によるタンギング
  • ― 最高音域のアーティキュレーション
  • ― 声に出すときのシラブル(音節)とアーティキュレーション
  • ― ⻭の間およびリップで行うタンギング
  • ― 基本モード
  • ― アーティキュレーションの⼀般的な傾向
  • ― さまざまな長さの⾳とアタックを組み合わせる
  • ― 「Tut」の弊害
  • ― スタッカート
  • ― 推進力の減衰
  • ― 国ごとのスタイルと、時代のスタイル
  • ― マルチプルタンギング
  • ― 「k」のアタックのつけ方
  • ― リズム、テンポ、エアの流れ
  • ― ⾼⾳域、低⾳域でのマルチプルタンギング
  • ― タンギングのスピード
  • ― アーティキュレーション上の問題
  • ― どもりのアタック
  • ― 厚い⾆
  • ― チュータンギング
  • ― ⻭
  • ― ⻭がもたらした危機
  • ― 最適な⻭ならび
  • ― ⻭の問題について診断する
  • ― ⻭科⽤器具
  • ― 歯に歯科材料を接着する方法
  • ― 歯科矯正ワイヤー
  • ― 親知らずの抜⻭
  • ― あごと楽器の角度
  • ― 平行な歯ならび
  • ― あごを前に出す
  • ― ピボット奏法
  • ― 均等にかかるマウスピースの圧⼒
  • ― ビブラート
第5章 からだの使い方
  • ― スキルを磨く
  • ― 最小のエネルギーで演奏するという⽬標
  • ― よいフォームの大切さ
  • ― 力の入れ過ぎ
  • ― 筋電図による生体自己制御
  • ― 姿勢と力み
  • ― 姿勢の重要性
  • ― 自分のベストの姿勢を⾒つける
  • ― シュルマン・システム
  • ― 下半身のポジション
  • ― 座っているときの姿勢
  • ― 首と肩の痛み
  • ― 姿勢をいろいろ試してみる
  • ― アレクサンダー・テクニーク
  • ― プライマリーコントロール
  • ― 感覚は正しくない時がある
  • ― アレクサンダーの先生との共同作業
  • ― アレクサンダー・テクニークを使う
  • ― フェルデンクライスメソッド
  • ― 20分のG
  • ― 使う力の大きさを、やろうとしているタスクに合わせる
  • ― ⼿とゆび
  • ― 右⼿
  • ― 左⼿
  • ― 腕
  • ― 健康について
  • ― 全身運動の大切さ
  • ― 自分にとってベストの運動を見つける
  • ― 運動するときに守ること
  • ― だんだんと負荷を増やす
  • ― ヨガ
  • ― 太極拳
  • ― ピラティス・メソッド
  • ― 食事管理
  • ― ⽔分
  • ― 休息と睡眠
  • ― ⻭と⻭ぐき
  • ― 演奏家がしやすいケガ
  • ― よくあるトランペット奏者のケガ
  • ― アンブシュアのケガ
  • ― 神経の圧迫
  • ― 筋⾁の裂傷
  • ― 顎関節症と顎関節
  • ― ⼝の渇き
  • ― 難聴
  • ― 軟⼝蓋の機能不全
  • ― ベル麻痺 (片側性顔面麻痺)
  • ― 気胸
  • ― のど(首)ヘルニア
  • ― ジストニア
  • ― 助けになるものを探す
第6章 本番演奏の心理学
  • ― 本番演奏に関するメンタル的な側面
  • ― メンタルのコントロール
  • ― フロー体験
  • ― 「今」を演奏する
  • ― あがり症
  • ― 戦うか逃げるか
  • ― 恐怖による条件付け
  • ― β(ベータ)遮断薬
  • ― からだとこころのつながり
  • ― 恐怖を克服する
  • ― ブレスのコントロール
  • ― リラクゼーション反応
  • ― 瞑想
  • ― 呼吸瞑想
  • ― 観察瞑想
  • ― ⾃⼰催眠
  • ― リラクゼーション法
  • ― 段階的なリラクゼーション
  • ― きっかけ、合図、結びつけ
  • ― 呼吸のアンカリング(結びつけ)
  • ― ビジュアライゼーション(視覚化する)
  • ― イメージすること
  • ― 無意識をだます
  • ― ビジュアライゼーションのトレーニング
  • ― 期待と感動
  • ― メンタル・リハーサル
  • ― アファーメーション(肯定的な自己宣言)とセルフイメージ
  • ― 悪い結果についてのイメージ・リハーサル
  • ― ネガティブな考えと信念
  • ― ⾃信と⾃尊⼼
  • ― ポジティブ・セルフトーク
  • ― ストレスと不安
  • ― 状態不安と特性不安
  • ― 身体的不安と認知的不安
  • ― 覚醒状態
  • ― 覚醒レベルが高すぎる場合と低すぎる場合
  • ― 活性化
  • ― 覚醒レベルを調節する方法
  • ― 逆U字理論
  • ― 最適機能ゾーン
  • ― 注意力と集中⼒
  • ― 覚醒レベルと注意力
  • ― 初見
  • ― 目標設定
  • ― モチベーション
  • ― ルーティーンの⼀部としてのメンタルトレーニング法
  • ― 最後に
第7章 トランペットを学ぶみなさんに伝えたいこと
  • 参考文献
introduction
フランク・ガブリエル・カンポス(Frank Gabriel Campos)

米国・ニューヨーク州にあるイサカ音楽大学のホエールン音楽センターの名誉教授であり、著名なクラシックおよびジャズトランペットのソリストであるほか、教育者、著述家としても活躍。著書「TRUMPET TECHNIQUE」(オックスフォード大学出版局、2005年)は、世界中の音楽大学で使用され、国際トランペットギルドジャーナル紙の連載コラム「クリニック」は、1995年以来、何千人ものトランペット奏者にとって教育的な助言となっている。またレコーディングにおいては、グローバル・ミュージック・アワードで「2018年トップテン・アルバム」に選ばれた「An Unquiet Prayer」を含めて、グローバル・ミュージック・アワードのゴールド・メダルを3度受賞。現在はコーネル大学客員講師。
ソリストとして、モスクワ室内管弦楽団、イーストマン・ウィンド・アンサンブル、ウィニペグ交響楽団と共演、ワシントンDCのコンスティテューション・ホール、ニューヨークのタウンホール、リンカーン・センター、ケネディ・センターでの演奏会に出演。また、ナタリー・コール、ジョニー・マティス、エラ・フィッツジェラルド、マンハイム・スチームローラーなどのアーティストとの共演や演奏旅行を行い、モントルー国際ジャズフェスティバルやオタワ国際ジャズフェスティバルでもソリストを務める。さらに、アメリカン・パブリック・メディアの「Performance Today」で紹介された回数は、12回以上を数える。
首席トランペット奏者として、ダラス室内管弦楽団、テキサス・バロック・アンサンブル、グリマーグラス・フェスティバル・オーケストラ、ビンガムトン・フィルハーモニー管弦楽団、カユガ室内管弦楽団、トライシティーズ・オペラ、フレズノ・フィルハーモニー管弦楽団、ベアバレー・フェスティバル管弦楽団、ノースイースタン・フィルハーモニー管弦楽団、スカニアテレス・サマー・ミュージック・フェスティバル、サザン・フィンガー・レイクス管弦楽団、ピューリッツァー賞受賞者スティーブン・スタッキーのアンサンブルXで活躍。1987年よりヤマハアーティスト。
これらのほか、ニューヨーク州バロック管弦楽団での古楽器演奏や、スターリング・ルネッサンス・フェスティバルでのソナーレ古楽コンソートと共演に加え、数多くの現代作品を初演、ヨータム・ハーバー、サリー・ラム、アンドリュー・ワゴナー、ジェームズ・ウィリー、デイナ・ウィルソンなどは、カンポス氏のために曲を提供している。カンポス氏はダラス・ブラスを創設するとともに、イサカ・ブラスのメンバーを25年間務め、2018年には「トランペットの演奏、教育、出版における卓越した生涯の功績に対して」国際トランペットギルド功労賞を受賞。

※発行時の著者紹介より
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